一年を振り返る
長野県行政書士会副会長 赤羽 康志
最近、果物をよく食べるようになった。きっかけは昨冬、ポンカンを食べたことである。あまりのおいしさにすっかり虜になり、ほとんど毎日食べ続けた。次第に他の品種にも手を伸ばすようになり、春先までに『きよみ』やら『はるか』やら『せとか』やら・・・柑橘類の名前だと知らない人が聞いたら人格を疑われそうなくらい多様なミカンを食べまくった。
春になった。店頭からは手でむけるミカンの類が消えていき、お馴染みの輸入物が並ぶようになった。レモンを齧る気にもならず、運転しながらグレープフルーツを食べようとして免停になるのも嫌だ、かといって果物なしの生活には戻れない。しばらくの間はカットされたパイナップルを楽しむことにした。パイナップルとて輸入物だが、背に腹は代えられないのである。
そして5月。今にして思えば長い長いスイカ生活が始まった。(ここで、「スイカは果物じゃなくて野菜でしょ?」と思ったアナタ、そうですよ、スイカは植物学上の分類では野菜です。『厳密に言えば』メロンも野菜、イチゴも野菜、パイナップルもバナナも野菜。これらは全部『果実的野菜』と呼ばれています。だからこの稿ではスイカも果物として扱います!)熊本スイカを皮切りに、スイカ前線の北上と共に鳥取産、新潟産と攻略し、ついに7月上旬には売り場は『JA松本ハイランドすいか』一色に。毎日食べ続けたおかげで(もちろんカットスイカ)、猛暑のマスク生活を無事に乗り切ることができた。しかし、何事にも終わりは来る。9月になると松本産は姿を消し、わずかながら手に入る青森産や北海道産は肥えた舌には物足りず、およそ4か月に及んだスイカ生活は終わりを迎えた。
次に挑戦したのはブドウである。これまでの人生、ブドウについて深く考えたこともなく、名前を挙げろと言われても『ナイアガラ』『デラウエア』『巨峰』がせいぜい。今年はシャインマスカットの盗難被害が相次ぎ話題となったのでいちおう顔と名前は一致する程度、だったのだが、このシャインマスカット、誠に重宝な果物なのである。おいしい、種がない、皮もむかない、運転しながらでも余裕で食べられる。がしかし、高い。秋のあいだ中、シャインマスカットを食べるために働いたようなものである。本当に。シャインマスカット以外にも、ちょっとした評論家になれそうなぐらい様々な種類のブドウを堪能した。名前はもう忘れてしまったが。
そして、また冬である。ポンカンにはまだ早いようだが温州ミカンは食べている。「宇和が良い」だの、「いや、三ケ日だ」だの言いながら、食べている。このところの運転のお供はキンカンである。おいしい、皮ごと食べられる、シャインマスカットに慣れた指先にはちょうどいい大きさである。しかし、種は多い。